すあげのしせきログ

文化、博物館を嗜みます。

今さらながら『ラブライブ!サンシャイン!!』に嵌った話

いま令和だぞ?

 

2010年台に一世を風靡したアニメ、『ラブライブ!』シリーズを聞いたことない人を探すほうが難しいだろう。

 

思い返せば、紅白歌合戦

当時学生だったわたしは、お茶の間で冷ややかな視線を向けていたそのアイドルに、今ときめいている。

 

ラブライブ!』シリーズの第2弾として製作された『ラブライブ!サンシャイン!!』

 

静岡県沼津市を舞台に、『輝き』を追い続ける9人の少女たちを描いた作品だ。

 

物語の冒頭は次のように始まる。

 

「普通な私の日常に、突然訪れた、奇跡____。」

「何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて。」

「でも、何をやっていいかわからなくて。燻っていた私のすべてを吹き飛ばし舞い降りた。」

 

そう、舞い降りたのは『スクールアイドル』。

東京・秋葉原で偶然目にした一枚のチラシ。そこに描かれていたアイドル衣装に身を包んだ少女たちに主人公の高海千歌は心を奪われることで物語は始まる。

やがて彼女は仲間を集め、互いに切磋琢磨し、衝突しながらも同じ方向を見つめ進んでいく。

 

意外かもしれないが、彼女たちの航路は生易しいものではなかった。

失敗や挫折を繰り返し、後悔しながらも一歩一歩前進していく。そんな彼女たちの姿に見ているわたしたちも勇気づけられる。

 

 

冒頭の台詞にあった通り、主人公は一貫して『普通』であることにコンプレックスを抱く少女だ。

『特別な何か』になりたくて。何かを残したくて。でもそれが何かわからない。

『輝きたい』。でもどうしたらいいかわからない。

 

自分は周りと違う特別な何か。人気者を照らすスポットライトではなく、スポットライトを浴びる自分になりたいと思っていたあの頃。

そんな懐かしい感情を揺さぶられる作品であった。

 

わたしが大好きな楽曲に『WATER BLUE NEW WORLD』がある。

この曲を披露したのは全国大会の決勝。

ここ一番で披露したこの楽曲は、彼女たちのこれまでの軌跡や重ねてきた想いそのすべてが詰まっていた。

 

新しい場所 探す時が来たよ

次の輝きへと海を渡ろう

夢が見たい想いは いつでも僕たちを

繋いでくれるから 笑っていこう

 

彼女たちは最終回で自分たちの『輝き』を手に入れる。

正確には手に入れるのではなく、すでに手にしていたと気づく。

 

自分の夢や目標に向かって、夢中になって努力する。気が付いたら、辿り着けないステージへと来ている。

その愛おしい日々と、だからこその『イマ』。それが彼女たちの『輝き』であった。

 

 

これまでの輝かしい思い出や痛み、そのすべてを抱えながら、次の輝きへと航海を続けていく。

これは視野も懐も狭くなってしまった現代社会を渡るための道標なのではないだろうか。

忘れたくないほど幸せな時間も、日々何となく過ぎていく時間も、苦い過去も、それらすべてがイマの自分を形作る。それは誰にも否定できない自分だけの『輝き』。

 

ひとりひとり違う『輝き』。それはみんなが持っている。

 

否定されるかもしれない。興味をもってくれることさえないかもしれない。でも、『輝き』を知り合うことで、人間関係は始まっていく。

だから、どうか、自分で自分の『輝き』を否定しないで。

 

なら、その勇気はどこに?君の胸に!